訪問介護(ホームヘルパー)とは|できることとできないこと
在宅介護の要となるのが「訪問介護」、いわゆるホームヘルパーです。自宅に来て身体介護や生活援助をしてくれる心強い存在ですが、「何でもやってくれる家政婦」ではありません。できること・できないことを知らずに頼むとトラブルになります。この記事では、訪問介護のサービス内容、費用、頼み方、上手な付き合い方を家族目線で整理します。
訪問介護とは|資格を持ったヘルパーが自宅で介護
訪問介護は、介護保険の居宅サービスの一つで、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問し、身体介護や生活援助を行うサービスです。
特徴は次のとおりです。
- 介護保険適用で1〜3割負担
- ヘルパーは国家資格の介護福祉士または介護職員初任者研修修了者以上
- サービス提供時間は20分〜1時間が基本
- 要支援1・2は「訪問型サービス(総合事業)」という別枠で利用
家族が仕事で昼間不在でも、ヘルパーが来てくれることで在宅介護が成立します。
3種類のサービス内容
訪問介護は大きく3つに分かれます。
1. 身体介護
本人の身体に直接触れる介護です。
- 食事介助(食べさせる、飲ませる)
- 入浴介助(一般浴、シャワー浴、清拭)
- 排せつ介助(トイレ誘導、おむつ交換、ポータブルトイレ処理)
- 着替え、整容(髪をとかす、ひげを剃る)
- 移乗介助(ベッド・車椅子間の移動)
- 服薬介助(飲み忘れないよう見守り、手渡し)
- 通院介助(タクシー乗車中の見守り含む)
2. 生活援助
本人の生活に直接必要な家事援助です。
- 調理(本人が食べる分)
- 掃除(本人が使う部屋のみ)
- 洗濯(本人の衣類のみ)
- 買い物(本人の日用品、食材)
- 薬の受け取り
- ゴミ出し
3. 通院等乗降介助
介護タクシーの乗降介助。ヘルパーが運転する介護タクシーの利用時に使えます。
できないこと|ここが家族との認識ギャップ
「お金を払っているから何でも頼める」と思うとトラブルになります。介護保険では以下はできません。
家族のための家事
- 家族分の食事作り
- 家族の部屋の掃除
- 家族の衣類の洗濯
日常の家事を超える作業
- 大掃除、窓拭き、庭掃除、草むしり
- ペットの世話(散歩、餌やり、トイレ)
- 園芸、盆栽の手入れ
- 自家用車の洗車
- 家具の移動、模様替え
医療行為
- インシュリン注射
- 点滴管理
- 褥瘡の医療処置
- 気管切開カニューレの交換
- 摘便
- 導尿(カテーテル)
医療行為は訪問看護の領域です。ただし2012年以降、研修を受けたヘルパーは特定の医療行為(痰の吸引、経管栄養の一部)ができるようになりました。
その他
- 散髪、カット
- 金銭管理(通帳預かりなど)
- 冠婚葬祭の準備・出席代行
「これは頼めるのか?」と迷ったら、事業所またはケアマネに確認してください。
費用の目安(2026年基準、1割負担)
時間と内容で単価が変わります。
| 内容 | 時間 | 1割負担時の費用 |
|---|---|---|
| 身体介護 | 20分未満 | 約167円 |
| 身体介護 | 20〜30分 | 約250円 |
| 身体介護 | 30〜60分 | 約396円 |
| 身体介護 | 60〜90分 | 約579円 |
| 生活援助 | 20〜45分 | 約183円 |
| 生活援助 | 45分以上 | 約225円 |
| 通院等乗降介助 | 1回 | 約99円 |
早朝(6〜8時)・夜間(18〜22時)・深夜(22〜6時)・祝日は加算料金が発生します。
月額イメージ(要介護2、1割負担)
週3回、30分の身体介護 + 週2回、45分の生活援助を使う場合:
- 身体介護: 250円 × 3回 × 4週 = 3,000円
- 生活援助: 225円 × 2回 × 4週 = 1,800円
- 月額合計: 約4,800円
これに加算や他のサービスが乗ります。
訪問介護を使うまでの流れ
- ケアマネジャーに相談(または要介護認定を申請)
- ケアプラン作成時に訪問介護を組み込み
- ケアマネが訪問介護事業所を紹介
- 事業所との契約(重要事項説明、緊急時対応の確認)
- サービス開始
契約時には次の3点を確認してください。
- 担当ヘルパーの固定性(毎回同じ人か、ローテーションか)
- 急なキャンセル・変更のルール
- ヘルパー指名制の有無
具体例|Hさん(48歳)の父の入浴介助に訪問介護を使ったケース
愛知県のHさんの父は要介護3、自宅の浴室で入浴困難。訪問介護で週3回、1時間の入浴介助を導入。ヘルパー2名体制で浴室まで移乗、洗身、着替えを実施。月の自己負担は約7,000円(1割負担)。「父が家で風呂に入れることで、施設入居を数年先延ばしできた」とHさん。
ヘルパーとの上手な付き合い方
ヘルパーは家に入る他人です。信頼関係を築くコツを紹介します。
- 記録ノートを活用: 玄関に置き、状態・薬・気づきを共有
- 感謝を伝える: 過剰な贈り物はNG(介護保険法で禁止)、言葉で伝える
- 苦情は事業所へ: 直接ヘルパーに言わず、サービス提供責任者経由で
- プライバシーに配慮: ヘルパーにも休憩・記録時間が必要
- 家族も挨拶: 可能なら家族が初回の訪問時に立ち会い挨拶
ヘルパー交代の希望も、事業所に遠慮なく伝えてOKです。
生活援助の「同居家族がいる場合」の注意
原則、同居家族がいる場合、生活援助は使えません。家族ができるとみなされるためです。
ただし、以下の条件に該当すれば例外的に利用可能です。
- 家族が仕事で日中不在
- 家族が障害や疾病で家事ができない
- 家族が高齢で家事が困難
- 家族が介護離職寸前の状況
ケアマネに「ケアプランの特記事項」として記載してもらえば認められるケースが多いです。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護という選択肢
1日複数回の訪問が必要な場合、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」が便利です。
- 1日3〜6回、短時間の訪問を組み合わせる
- 24時間のコールセンター対応
- 訪問看護と一体運営
重度介護で、家族が夜間不安な場合に有効です。月額定額制のため、利用量が多いほど割安になります。
よくある質問
- Q. 訪問介護の時間中、家族は外出していい? A. 可能です。緊急連絡先を共有しておけば問題ありません。
- Q. 防犯カメラで監視していい? A. 事前に事業所と本人の同意があれば可能。隠し撮りはNG。
- Q. お茶やお菓子を出すべき? A. 不要です。ヘルパーは業務中、個人的な飲食は控える決まりです。
訪問介護は、在宅介護を支える最も身近なサービスです。「できること」と「できないこと」を理解し、事業所と良い関係を築けば、家族の負担は確実に減ります。
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